策定日 2022年4月1日
医療法人悠愛会 ひがし循環器クリニック
「適切な意思決定支援に関する指針」
1. 基本方針
人生の最終段階を迎えた患者・家族等と医師をはじめとする医療・ケアスタッフが、最善の医療・ケアを提供するため、患者・家族等に対し適切な説明と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本とした、医療・ケアを提供する。
(厚生労働省:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを規範とする)
2. 『人生の最終段階』の定義
(1)がん末期のように、予後が数日から長くとも2~3か月と予測できる場合
(2)慢性疾患の急性増悪を繰り返し、予後不良に陥った場合
(3)脳血管疾患の後遺症や老衰など数か月から余年にかけ死を迎える場合 人生の最終段階とは、患者の状態を踏まえて、多職種にて構成される医療・ケアチームにて判断するものとする。
3. 人生の最終段階における医療・ケアの在り方
(1) 医師等から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づき多職種からなる医療・ケアチームが十分に情報共有し、本人の意思決定を基に医療・ケアを提供する。
(2) 本人の意思は変化しうることを踏まえ、本人自ら意思を示し伝えられるよう、本人との話し合いを繰り返し行うものとする。
(3) 本人が不安や疑問、思いを十分表現できない場合は、医療・ケアスタッフがアドボケート(権利庇護者、代弁者)となり、考えの表出を助ける。
(4) 医療・ケアの開始・不開始、医療・ケアの内容の変更、中止等は医療・ケアチームにより、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断する。
(5) 身体的な苦痛のみならず、家族等も含めた精神的・社会的な援助を総合的に行う。
(6) 生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本指針の対象としない。
4. 人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続き
人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は次によるものとする。
(1) 本人の意思が確認できる場合
①方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明を行う。 そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行う。
②時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、本人の意思は変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説 明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援を行う。また、このとき、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いを繰り返し行うものとする。
③このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、「積極的な延命治療を望まない時の申し出」「蘇生措置を望まない時の申し出」書等も活用しながら文書にまとめておくものとする。
※「積極的な延命治療を望まない時の申し出」「蘇生措置を望まない時の申し出」書についてはいつでも変更できる
(2) 本人の意思の確認ができない場合
①本人の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う。 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとる。
②家族等が本人意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとる。また、時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
③家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の方針をとる。
④このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、「積極的な延命治療を望まない時の申し出」「蘇生措置を望まない時の申し出」書等も活用しながら文書にまとめておくものとする。
※「積極的な延命治療を望まない時の申し出」「蘇生措置を望まない時の申し出」書についてはいつでも変更できる
話し合いの中で意見がまとまらなかった場合や医療・ケアの方針が決定できない場合は、患者本人または家族等の同意を得て、外部の専門家(医療倫理の精通者や国が行う研修会の修了者など)を交え、方針等について検討していきます。